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直木賞受賞「宝島」がおもしろい
2019/03/12(Tue)
沖縄の戦後1952年から1972年の本土返還まで、20年の物語である。3人の若者を軸に激動の時代を描く。彼らは米軍基地に忍び込み、略奪した物品を住民に分け与える「戦果アギャー」のメンバーだった。奪うのは食料、医療品だけではない。盗み出した建築資材で小学校が建った。そのため戦果アギャーのリーダー「オンちゃん」は住民から英雄視されていた。そのオンちゃんは嘉手納基地を襲った夜に米兵に追われて行方不明になってしまった。オンちゃんの親友グスク、弟のレイ、恋人のヤマコは、片時もオンちゃんのことを忘れず、その姿を追い続ける。

3人の若者が激動の時代に対峙し、一歩も引かず熱く行動する姿が生き生きと描かれる。20歳をすぎて、彼らの道は、琉球警察の警官、やくざ&テロリスト、小学教師と分かれるが、その思いは「オンちゃん」の志を受け継いで沖縄の人々を守り、沖縄に尽くすことで共通している。その行為を通して地元の「英雄」になろうとする。たとえば、女給をしながら勉強して小学教師になったヤマコは、教職員組合の本土復帰の活動をしながら、地域の浮浪児を集めて本を読んで聞かせる。浮浪児は文字を知らず、読み書きができないのだ。強さ、賢さ、優しさを備えたヤマコは沖縄の女性の象徴なのだろう。

彼らの物語はフィクションだが、背景に沖縄の戦後の実際の事件が次々に現れる。頻発する米兵による暴行事件、交通事故、米軍機の小学校への墜落、毒ガスでの住民被害、等々。沖縄の人々が米軍基地の存在により、どれほど人権を侵され、犠牲を強いられ、悲しみを背負って生きてきたか。沖縄人の怒り、悲しみ、抵抗、戦いを、沖縄人の視点で生々しく記述する。沖縄人民党瀬長亀次郎や、のちに琉球主席になった屋良朝苗も登場する。米国は沖縄を蹂躙し続け、対米追随の日本政府は沖縄を見放した。したがって、本土復帰が実現しても米軍基地がある限り、沖縄にとっては「戦中」が続き、「戦後」はやってこないのだ。


https://www.amazon.co.jpdp/4065118638

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500ページを超える大作ですが、まったく中弛みせず、むしろ最終章に向けて疾走感がヒートアップしてゆきます。
超ど級のピカレスクロマンであり、エンターテイメント作品。面白い!
1952年から1972年、戦後から沖縄返還までの物語で沖縄の歴史を詳らかに書いた歴史方小説でもありますね。
戦後の混沌とした時代を必死に駆け抜けた少年少女の魂の躍動感や、むせかえるような濃密な空気感が物語に引き込みます。
沖縄のことをなんとなくしか知らない多くの日本人が読むべき作品ですね。おすすめ。
同じ時代を描いたピカレスクロマンに梁石日氏の「夜を賭けて」がありますが、この作品も歴史小説としても面白かったです。
大阪城そばの広大な敷地がアジア最大の兵器工場だったと知る人は、今の時代にあってどれだけいるだろうか?




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